【追加・補足】大震災発生時のインターネット回線危機をさらに調べる。

IT・Web関連

先週「東日本大震災のときに日米間のインターネット回線が危機だった件を調べてみた。」としてブログ記事をアップしたところ、たくさんのリツイート、はてブ、いいね!を頂きました。
一時的にはてブのトップを飾り焦る。
2015-03-17_18 50
リツイートされるごとに鳴り続けるTwitter通知。これが炎上案件でしたら心が折れていたと思います。

この情報が多くの人に共有された背景としては、やはり東日本大震災におけるインターネット回線の危機が知られておらず、インターネットが世界とつながっているのも物理的な回線とサーバに支えられているからだということが認識されていなかったからだと思います。
#このブログ記事をアップして恐れていたのが「は?有名な話しだろ」「既出」「知ってた」など炎上することでした。

そして今回はこの情報が拡散するにつれ、追加・訂正・補足など多くの情報が集まってきました。さすが集合知のインターネット。それら情報を埋もれさせないよう、今回は追加・補足の記事をまとめたいと思います。

「軍事目的から開発されたインターネット」→俗説

早い段階から誤りを指摘されて、慌ててブログ記事を訂正しました。


インターネットの前身である「ARPANET」は米国の国防総省関連の研究で構築されたネットワークでしたが、軍事目的ではなく純粋な研究目的のネットワークでした。
ただし予算獲得のために「名目上の目的」として軍事が掲げられた可能性はあります。
JPNICサイトにもそのように書かれていました。
JPNIC RFC-JP(はじめに)

一般的に、インターネット技術は、 核爆弾が投下されても通信可能な頑強なコンピュータネットワークを構築することを 目的として研究開発が行われたと言われるが、実際には、これは、 DoD(Department of Defence; 米国国防総省)から研究開発費を獲得するための 名目上の目的であり、実際には、コンピュータサイエンスの技術者達が、 貴重な計算機資源をどこからでも利用可能な環境を構築することを目的として、 研究開発を行ったものであるようだ。

NTTコミュニケーションズだけでないよ。KDDIも頑張ってたよ!

ブログ記事では触れた程度でしたが、日米間のケーブルはKDDIとGoogleが出資した高速回線「Unity」も生き残っていました。
NTTコミュニケーションズの1本とUnityで日米間の通信をさばいていたようです。
また仮に日米間の海底ケーブルが全部切れたとしても米国との通信ができなくなるわけではなく、他国経由の回線で通信できていたと思います。
ただし経由サーバが多くなるため遅延とパケットロスが頻発していたと思います。

JANOGの資料があるぞ

はてブコメントより。
東日本大震災のときのインターネットインフラに関してはJANOGの資料があるぞ- operator のコメント / はてなブックマーク
紹介されたURLはこちら。
JANOG | JANOG28 Meeting 日本のインターネットは本当にロバストだったのか

すみません・・・ウェブに関わる仕事をしておりながら、この組織を知りませんでした・・・。
そしてこのときの資料にNTTコミュニケーションズの資料も含まれていました。
なにより驚いたのは「本当にロバスト(*)だったのか」(*強靭な)と、東日本大震災の通信状況を「さらにロバストにするにはどうするか」と省みて議論をしていることでした。
え?ギリギリでもインターネットはつながってたし、海底ケーブルが断線したことも知られてないくらい表面化してないし、復旧も素早かったんだから大成功だったんじゃないの?
インフラ屋さんは更なる高みを目指しているようです。

ニコ動に連絡が来たのもNTTコミュニケーションズから

「公式設定:某K社ともD社とも関係ありません。」な方が、ニコニコ動画の当時の状況を語ってくれました。
当時、テレビが見れないけどインターネットはつながるという状況に多くの人がいて、NHKの放送がUstreamに流されていました。
(最初は広島の中学生が個人でやっていたのをUstreamとNHKが黙認していて、その後にNHKが公式配信)
#自分も会社でUstreamのNHK放送を見ていました。畑を飲み込んでいく黒い波の映像は意味が理解できなかった。
日米間の直通回線が2本しかない中、動画配信で大量の通信が流れたら回線流量が逼迫します。
NTTコミュニケーションズが直接ニコニコ動画に対してアクションした(らしい)という貴重な証言です。

会社としてディザスタリカバリ計画を立てていた。

ブログ記事で少し誤解を招いたようなのですが、回線が断線したことにより通信経路のルーティング変更をしたのは現場技術者の判断ではなく、会社として「ディザスタリカバリ計画」を持っており、それにのっとって対応したという点にご留意ください。
(ITホワイトボックスの取材でも「あらゆるケースを想定して対応できる」と話していました)
とは言え、回線4本同時断線の想定は机上のシミュレーションだったと思いますし、その計画を遂行するために現場技術者が必死に対応していたのは言うまでもありません。

(オマケ)ITホワイトボックスの録画を見返してみた。

今回のブログ記事を書くにあたり再度録画を見返してみました。
前回ブログでは「NHKらしく企業名が公表されていなかった」と書きましたが、見返してみると・・・。

・インタビューシーン(テレビ画面をスマホ撮影したので低画質ですみません)
ntt1

・拡大
ntt2

このマークは!
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NHKの放送の中にもヒントが隠されていました。

IT技術をわかりやすく説明してくれていたITホワイトボックスの再開を期待しています。技術的な話題を知らない人に簡単に説明する方法の参考にもしていました。
「インターネットの父」と呼ばれる村井純先生がでていたり、森下千里さんが出ていたりと、とても良い番組でした。

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