017.著作者の立証(ノンタン事件)

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概要

  • 1998年(平成10年)3月30日:東京地裁
  • 1999年(平成11年)11月17日:東京高裁
  • ノンタンはXとAが夫婦で共同した著作物か。
  • XとAは昭和45年に婚姻
  • XとAは昭和51年に共同著作者と表示されたノンタンの三作を出版(本件絵本①)。
    • 「ノンタン ぶらんこのせて」
    • 「ノンタンおやすみなさい」
    • 「あかんべノンタン」
    • 続編も出版
  • 昭和57年の書籍で、制作秘話(創作過程)として、XとAでテーマやストーリーを考え、Xが描いた原画をAが塗り直ししたエピソードを紹介
  • 1985年(昭和60年)にXが協議離婚の届出
    • その後もXは単身で続編を刊行
  • 1995年(平成7年)にAは死亡
  • Xは本件絵本①の著作権がXに帰属することの確認を提起
  • Y(Aの承継人等)は本件絵本①の著作権の全部がAに属することの確認として反訴
  • 東京地裁:請求一部認容
    • 共同著作者と書かれていれば推定される。
    • しかし、
      • 単なる補助者は著作者になり得ない
      • X名義の口座に振り込みされていた
      • 震えるような輪郭線がXに特徴的
        • 実はXは直線が苦手であの特徴的な描線になったとか
    • よって本件絵本①はXの著作物であり、ノンタン図柄を使った商品の製造は複製権の侵害として差し止めと損害賠償
  • 東京高裁:控訴棄却

ノンタン!泥沼離婚裁判!

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なかなか夢が壊れる判例です。ノンタンは、当初「大友康匠(やすおみ)/幸子(さちこ)」の夫妻名義で刊行されていましたが、協議離婚届出後は、「キヨノサチコ」の単独名義になっていったようです(判例のXがキヨノサチコ、A(Y)が大友康匠)。

1976年8月に刊行された『ノンタンぶらんこのせて - ノンタンあそぼうよ (1)』から1982年9月刊行の『ノンタンボールまてまてまて - ノンタンあそぼうよ (10)』までは作者は「おおともやすおみ」のみだったが、後に「おおともやすおみ」と「おおともさちこ」の連名となっている。以降の作品に関しては作者はキヨノサチコのみとなっている。

ノンタン – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%B3W

著作権の判例には時々、身近な作品や事例がでてきます。気になって色々調べると以下のような興味深いウェブ記事を見つけました。少し長いですが引用。

その後、何冊か読んでいるうちに作者が当時(1970年代)の大友康匠/幸子の共作から、キヨノサチコに変わっていることに気づいた。
(中略)
実際、清野単独作品となる2000年以降の作品は、背景があまり書き込まれず、また書かれていても奥行きのない平板な絵が多く、一方、大友が離婚後に出版した絵本「こぐまのプックン」シリーズでは、奥行きのある背景が書き込まれたページが多く登場する。
(中略)
二人の最初の作品「あっかんべー」の家の中が、あっかんべーしているように見える、というややドラッギーだが、微笑ましいストーリーと、最後の作品となった「スプーンたんたんたん」のリミッターを超えてしまったドラッギーな展開(マリファナ入りのブラウニーでも食べながら描いたのではないか、と疑ってしまう)を比べれば、そこに天才(だが天然で未熟)と常識人(だが凡人)による共作と、リミッターのない天才による天衣無縫な単独作の違いを見いだすのは難しくないはずだ。

以上の結論から見えることは、裁判で白黒はっきりつけたように ノンタンを清野一人の作品にする、というのはいささかやり過ぎなのではないか、ということだ。

「二人はノンタン」 | 備忘録 https://ameblo.jp/porokov/entry-11964941277.html

たしかに数年前に子供にノンタンを読み聞かせしていたときに、なにか自分の抱いていた印象と異なる…と感じました。

ノンタンの挙動がおかしい、子供らしさと言うより狂っているような…。もしかすると後期(キヨノサチコ単独)の著作だったのかもしれません。

ウェブディレクターの視点

この判例では、単に補助的な作業(アシスタントのようなこと)では、著作者にはなりえないという判断です。当初は書籍にも共同著作で明記されていたのに、事実として覆されたのは、なかなか厳しい判断です。

私自身、ウェブサイトだけでなく、コンテンツ制作や動画制作にも関わりますが、ディレクターが創作に関与したところで、創作者自身にはなれないと言うことがよくわかります。私自身が、デザイナーやライター、カメラマンなど、クリエイター全般に憧れ、リスペクトする理由でもあります。

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