R25を読む「諫早湾干拓事業」

R25の締めとして連載中の「結論はまた来週」(高橋秀実)。
今週は「エコロジーが止まらない」と題し「諫早湾干拓事業」に触れています。
「エコロジスト」(漁民) VS 「環境破壊派」(干拓農民)
そしてエコ(とムツゴロウ)の勝利。
この図式はわかりやすいものであり、「わかりやすく」ニュースを伝えるマスコミも環境保護の時流にのった報道をしています。
しかしその実態はそう単純に割り切れるものではないのです。
からくり民主主義
「からくり民主主義」(高橋秀実)
漁場を返せと訴える漁民、デモを行なう労組関係者、全国から集まる環境保護団体、「工事の影響」でノリが不作であった2000年と翌年の豊作、新たな漁場を提供した堤防、堤防の防災意義を主張する行政、元は漁民であった干拓農民、村の崩壊につながる排水門の開門、政治的判断を求める科学的結論・・・。
現場はそれぞれの「立場」が入り乱れ、お互いに「担保価値」を高めあう「頭を抱え」る状況だったのです。
(上記でも既にわかりにくいですが、それほどまでにまとめにくい状況なのです)
前にも進めず、後ろにも戻れず。
結局、工事は棚上げ、中断にしておくことが一番なのです。
総事業費2500億円をかけて。
この「からくり民主主義」、高橋秀実はその他のニュースな現場にも出遅れがちに取材に向かいます。
賛成も反対も微妙な「沖縄米軍基地問題」、オウムに無関心だった上九一色村住民、世界遺産となった「ふるさと」白川村、「平等なゲーム」車椅子バスケなど。
マスコミではクリアに白黒つけられ、あるいは美談に仕立てられる現場に著者は向かい、そして取材すればするほど「わからなくな」ってしまうのです。
それは解説の村上春樹の言う通り、「世の中のものごとには多くの場合、結論なんてない」のですから。
あなたもこの本を読んで、一緒に困惑して、途方に暮れて、「弱ったなぁ」とつぶやいてみませんか?
それでも、そこが「僕らが生きている困った世界」(村上春樹)なのですから。

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