「夕凪の街 桜の国」を幾度も読む。

手元で積読状態にあった「夕凪の街 桜の国」を読みました。
夕凪の街桜の国
夕凪の街 桜の国

4月に一度読んでいるのですが、その場はさらりと読み終えてしまって情けない感想を残しています。
再読が勧められていたので、秋晴れの昨日に再び手に取りました。
昨日だけで4回読み直しています。
私は4月にいったい何を読んでいたのでしょうか。
3回目、手首のヤケドに気づいたときは打ちのめされました。
読み返すたびに一コマ一コマの重みに気づき、何でもない情景に自然と涙があふれてきます。
オビに「読後、まだ名前のついていない感情が、あなたの心の深い所を突き刺します」とあります。
たしかに「悲しい」「嬉しい」など、自分に湧き上がる感情をあらわす言葉が見つかりません。
ただただ、自分のまわり半径10mの人たちが平和であり、幸せであって欲しいと願うばかりです。
ストーリー以外を見ても、作品構造、マンガ技法、表現方法などどれをとっても一級です。
100頁に満たない小品ですが、この1冊をもって文学の講義を1年間行なえるのではないでしょうか。
この作品には単純な反戦、原爆反対の視点からでは読み取ることができないものが深く描かれています。
そういう意味では、戦争をあまり考えることがない私達一市民こそ、この作品のメッセージを受け取ることができるのかもしれません。
このような作品を私は他に知りません。
参考
ただのにっき(2004-11-09) 夕凪の街 桜の国(こうの 史代)読書ノート
(本書を2回読んだ後にこのページを読んでください。作品の深さに身じろぎできません)
夕凪の街 桜の国 – Wikipedia
(人間関係の整理がわかりやすいです)
麗奈ヒロイン「夕凪の街 桜の国」映画化 – シネマニュース : nikkansports.com
(ただストーリーをなぞるだけの映画にして欲しくはない)
関連書籍
勢いでこうの史代さんの作品を4冊買ってみる。
長い道 ぴっぴら帳 1 (1) ぴっぴら帳 (完結編) こっこさん
「さんさん録」はアクションの連載で読んでいた。これも日常の幸せを描いていて、おすすめ。
さんさん録 (1)

2007年7月1日追記

かの小飼弾さんのブログにて速読に役立ちそうな5作品の一つとなる。
404 Blog Not Found:速読に役立ちそうな5作品とその読み方
「速読に役立つ」というよりも、速読の意義を考える上での作品として紹介。
この文脈で「夕凪の街 桜の国」をとりあげるとは驚くなぁ・・・。

スポンサーリンク
広告
広告

シェアする

フォローする

コメント

  1. 楽士 より:

    「こっこさん」もいいですよ。可愛くなくて。そこがまた可愛い。
    夕凪~の映画化は知りませんでした。どうなんでしょう。どうしても「父と暮らせば」と比べちゃうと思うんですよね。

  2. 馬小屋 より:

    あー偶然にも。
    先ほど「こっこさん」も追加で注文したところでした。
    (ブログも「3冊」→「4冊」に修正)
    映画化は先ほど調べていて知ったんですよ。
    どっかのブログにも映画化を「父と暮らせば」とからめて書いてましたよ。

  3. 『夕凪の街 桜の国』 by こうの史代

    本屋さんの漫画コーナーに足を運ぶ度に買おうかどうか迷っていたこの作品。昨日とうとう手にしました。迷っていた理由は単に金銭的なものであり、「この100数ページの薄っぺらい本がどうして800円もするんだろう…」という割高感を感じていたから。でも買ってみて読んでみてやっぱり良かったと思う。値段の100倍の価値はあった。さすがいろんなところで受賞されている作品なだけあって、漫画という枠そのものを越えています。そしてすでに5回読んだのに未だに真っ向からコメントできません。それくらい深い作品です。
    この話は戦争の話というよりは、戦争(厳密には広島の原爆)がその後生き続けた人々にどういう影響を与えたか、を描いたもの。あまり書きすぎるとネタバレしちゃうので、特に以下の点において素晴らしかったことだけ明記しておきます。
    ・伏線の多さ(この漫画に無駄なコマははっきりいってない)
    ・初読と再読では台詞一つとっても意味合いが違う
    ・読み終えて手元に残るその感情には名前がない(悲しい、嬉しい等ではない)
    未読の方は是非読んでみて下さい。今年の夏に田中麗奈主演で映画化が決まっているので、そちらのほうも期待したいです。
    さて、作品をはしょり気に誉めちぎったところで一つ、私が戦争モノに対する疑問を提示したい。それは以前、高校時代に心理学の授業で『Schindler\’s List(シンドラーのリスト)』というスピルバーグの傑作を見た時に初めて思い、それ以降戦争モノを見るたび脳裏によぎる。

  4. 馬小屋 より:

    2007年7月1日に追記。
    ブログの過去記事に追記する場合、日付を変更するべきか、いつも迷う。
    日付を変えると時系列が狂うし、変えないと記事の更新に気付かれない。