ウェブディレクターとして働き始めて15年以上。常に関わり続けてきたドメイン。
お名前.comだと、ものの数分でドメインがとれる!すげー!
という黎明期から、ついにJPドメインの総元締めである株式会社日本レジストリサービス(JPRS)と指定事業者契約を締結しました。
今さらJPRSの指定事業者になる法人はないのか、指定事業者契約に関する情報がほとんどありませんでした。
「指定事業者をやってみた」「指定事業者になる5つのメリット」のようなブログ記事も見つからず、手探りで契約書や仕様書を読み込みながら、契約~業務フローの確立まで至りました。
↓この膨大なルール。
指定事業者に関するルール | 指定事業者 | JPRS
JPRS指定事業者に関する情報にはたして需要があるのかわかりませんが、以下、整理してネットの海に流したいと思います。
JPRSとは?
インターネット業界に関わりない人にはほとんど知られていませんが、最後が「.jp」で終わるJPドメインを発行できる唯一無二の組織です。ときどき広告費かけてJPRSも自社の宣伝をしてますが、なかなか知られることはなさそうです。
そして、たまたまですが、先ほどJPRSより設立20周年のご案内メールが届きました。日本のインターネットとともに発展してきた組織です。
指定事業者とは?
JPドメインを発行できるのはJPRSだけですが、その取次をする会社は多数あります。ドメイン関連の取次をするためには「指定事業者」としてJPRSと契約する必要があります。発行元をレジストリ、取次事業者をレジストラとも呼びますが、JPRSでは指定事業者と呼ぶようです。
指定事業者契約とは?
取り扱うドメインの種別に応じて3種の契約を締結します。
- 汎用JPドメイン名(example.jpなど)
- 属性型・地域型JPドメイン名(example.co.jpなど)
- gTLD等ドメイン名(example.comなど)
それぞれ契約内容は異なり、また管理できる内容・仕様も異なります。
さらに指定事業者になると付随契約を締結することで「JPRSサーバー証明書発行サービス」も利用できるようになります。
指定事業者って何ができるの?
JPドメインに関する手続き代行業務全般を行います。お名前.com(GMOインターネット株式会社)もJPRSの指定事業者です。一覧に社名が掲載されます。
ユーザーの申込を受けてJPRSデータベースへの登録作業を行います。APIを介した自動処理と手動による管理画面操作があります。
指定事業者になるメリットって?
ドメイン取得・更新の手続きをJPRSからの仕入れ値で行えます。そこに自社の利益を乗っければビジネスの完成です。
…とはいえ、他社の価格と比較することになるので、そんなに利益を乗っけられるものでもなく薄利多売の商売になります。また指定事業者契約には初回契約金や保証金も必要なので、その回収を考えると…。
金銭的メリットよりも手続きの一元管理
自分が感じている大きなメリットが、ドメイン関連業務の一元管理です。JPRSデータベースを直接変更できるのでドメイン登録情報の各種変更手続きが簡単に行えます。今までは他の指定事業者を通していため色々と面倒で時間もかかっていたのですが、管理画面で変更するだけでドメイン情報の更新が完了するのには驚きがあります。
Whois(https://whois.jprs.jp/)の情報が瞬間で更新されるのを見ると、インターネットの基盤を触っているなーという感覚になります。
指定事業者変更(レジストラ・トランスファー)の流れも自社でハンドリングできるのは気が楽です。間に複数社が絡むと、どこかで情報が途絶えて、指定事業者変更が拒絶されることが時々あるんですよね…。
隠れたもう一つのメリット・サーバ証明書関連
もう一つの大きなメリットは、JPRS発行のサーバ証明書の取得手続きの一部が簡略化できるしくみです。
サーバ証明書の取得について、どの認証局であってもファイルやメールでの認証フローが入りますが、JPRSサーバ証明書の場合、そのドメイン名の管理指定事業者である場合に認証フローがスキップできます(諸条件あり)。管理画面から申請するだけで、そのままサーバ証明書が発行できます。特にサーバ証明書の有効期限が1年間になった今では、認証フローのスキップは大きなメリットです。
指定事業者になってよかったか?
良い、悪いと言うよりも、長年ドメインを扱う仕事をしていて指定事業者になるというのは一つの目標でした。インターネットの中枢に一歩近づくような。コロナ禍でなかったら個人的に祝賀パーティーを開きたい気分です。
一方、当社の営業担当者は「ふーん」という反応でした…。やっぱり外からは見えにくい業務だな。
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