概要
- 1997年(平成9年)4月25日:東京地裁判決
- 設計図の著作物性についての判断
- X(原告)が、メーカーD社から依頼を受けてスモーキングスタンドの設計図を作成
- Y(被告)がその設計図を用いたと思われる工業製品を製作・販売しているとし、著作権侵害(設計図の複製)や著作者人格権の侵害で訴えた
- 製造・販売差し止め、名誉回復措置として謝罪広告、損害賠償請求
- 工業製品そのものではなく、設計図を使ったことを著作権侵害として訴えた
- 請求棄却
- 大量生産される工業製品の設計図に著作物性はない
- 誰でも理解できるよう共通のルールで書かれる設計図に独創性が見いだされない
設計図の著作物性に対する学説
- 学説①:設計図の表現や装飾に著作物性があるか?
- 設計図とは誰にでも伝わるようにするものなので独自性がだせるのか?(奇抜な線を引くとか)
- 誰が書いても同じような設計図になるのでは?
- 学説②:設計図の具体的表現(製品)に創作性があるか?
- 設計図をもとに作られた工業製品に著作物性がない場合(応用美術ではない場合)、その元となる設計図に著作物性があるのは矛盾するのでは?
- どちらの学説でも、工業製品の設計図の著作物性は否定されやすいようだ
スモーキングスタンドって
なんのことかわかりませんでした。
山崎産業 スモークリン DS-1200 アイボリー
山崎産業スモークリンDS-1200アイボリー
これか。街中においてある自立する灰皿。Amazonに売ってた。
ウェブディレクターの視点
設計図をYが見たのかどうかの事実関係は (検索したけど) よくわかりませんでした。ただ、争点はそこにはなく、仮に見ていたとしても設計図には著作物性がないため請求棄却という判断のようです。
これがウェブ案件と考えると、ウェブサイトの仕様書・設計書、サイト構成を示すサイトマップ図には著作物性がないって判断になるのかな。それとも 大量生産される工業製品ではないから、別の論点がでてくるのだろうか。
客に提出した提案資料や要件定義書をもとに、別の会社に発注されるという事案を、時折、耳にするけれども、アイデアは著作権として保護されず、設計資料も著作物としては保護されずで、なかなか争いづらい事案になるのだろうか。秘密保持契約を締結しておくか、不正競争防止法で戦うことになりそうだ。
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