概要
- 2014年(平成26年)12月18日:東京地裁判決
- 地図の著作物性についての判断
- 概要が超ややこしい
- X原告、Y1,Y2被告、以下( )内は関係者…だけど、整理しきれない
- 復元江戸図(Y2):書籍(平成6年)
- 本件江戸下図(Y2):追加情報
- 初版の江戸図(X):データ化・アイコン情報追加(H13年)→CD-ROM販売
- 本件江戸図(X):改訂等(H15年)
- 本件明治図(X):新規に制作
- 初版の江戸図(X):データ化・アイコン情報追加(H13年)→CD-ROM販売
- 本件江戸下図(Y2):追加情報
- 本件江戸図と本件明治図の著作権をXが持つことの確認と損害賠償
- 一部請求認容
- 地図も配置や文字、フォント、サイズ、色などの選択に独自性が現れていれば著作物性がある
- しかし、本件江戸図は、誰がどこに表現上の創作性を加えたか判然としない→X単独の著作物とはいえない
- 本件明治図は、Xが企画、制作費もXが負担、権利移転・対価の支払等もしているので、Xの著作物と言える
地図の著作権(創作性の付与)
- 「思想又は感情を創作的に表現した」地図は著作物(著作権法10条)
- 地図の調整(グリッドのずれ、補正など)は、地図の正確性を高める行為なので創作性とは言えない
- 地名・表示の取捨選択、アイコンなどなどで創作性が付与される
- しかし、地図の改版のように段階的に製作されていくと・・・ある段階で著作物性を認めると、その後に続く地図は、二次的著作物になったり、共同著作物になったり、権利関係がややこしくなる
- 契約が大事だとの結論
ウェブディレクターの視点
ところで江戸図・明治図って?
昔、Yahooで古地図を重ね合わせるサービスがありましたが、それも少し絡んでいるようです。
2007/01/25の記事。今から…14年前!?もはや知っている人の方が少ないのかも。
この裁判の経緯が下記ブログにまとめられていました。
この著作権の裁判とは別に、被告がYahooに権利確認の通知書を送ったため、Yahooが古地図利用を止めた(Xの契約が更新されなかった)として、損害賠償の裁判も行われたようです。
さて、原告は、先述した被告側のヤフー等への「通知書」の送付により、「古地図」サービスが3ヶ月で終了し、「本件使用許諾契約が継続されていれば原告が受領できたはずの金額相当の損害が発生した」として、不法行為に基づく損害賠償請求(1年当たり200万円)も行なっていた。
「古地図」をめぐる諍いの果てに – 企業法務戦士の雑感 ~Season2~ (hatenablog.com)
これについては、さすがに契約自動更新がされなかったことを、被告のせいにはできないとして、認められなかったようです。
地図だけの話しではないですが、著作権で揉めるとその作品自体が一時的にでも使えなくなる(使いづらくなる)ので、人類みんなが文化的に損をすることに…。関係者全員が円満になるような著作物利用を心がけたいです。
地図の著作権・Googleマップの利用
以上のように地図には著作権があります。ウェブディレクター業務で、ウェブサイトに地図を用意するよう依頼をうけることがありますが、例えばGoogleマップの画面キャプチャを地図画像として利用するのは著作権侵害となります。Googleマップ発行の埋込コードを使った利用は利用規約に則った使用なので問題はありません。また、印刷物やチラシに地図としてGoogleマップが使われているものをたまに見かけますが、これもアウトとなります。不動産業界では地図を当たり前のように使うので、このようなサービスもあるようです。
ウェブディレクターとして、このあたりの権利関係はしっかりと押さえておきたいです。
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