概要
- 2001年(平成13年)5月25日:中間判決
- 自動車整備業用システム(Xシステム)を製造販売するXが、同様のシステムを製造販売するYに対して、Xシステムに収載されるデータベースを複製しているため、著作権の侵害または不法行為として、差し止め・損害賠償請求
- 請求一部認容
- データベースの著作物性→なし
- 情報(自動車)の選択に創作性があるとは認められない(網羅的である)
- データ項目の選択にも創作性を有するとは認められない
- データベースの体系的な構成に創作性があるとは認められない
- データベースの複製→あり
- 誤入力やダミーデータもYデータベースに存在するので複製されている
- 不法行為について
- 公正かつ自由な競争の範囲を甚だしく逸脱しており、Xの営業活動を侵害しているとして不法行為を認定
- データベースの著作物性→なし
- 翌年の最終判決で、民法上の不法行為(民法709条)に該当するとして、被告に約5,600万円の損害賠償の支払いを命じる
- (原告は本件データベースの開発に5億円以上,維持管理に年間4,000万円もの費用を支出)
- (参考)知的所有権判例ニュース2002-7
データベースの著作物性
データベースは編集著作物の一種として著作物になります。ただし、情報の選択・体系的な構成に創作性が必要です。
「その素材の選択又は配列によって創作性を有するもの」
(著作権法12条1項)
例えば・・・こうかな。
- ×:山の名前と高さのデータベース→創作性ではなく網羅性
- ○:日本書紀にでてきた山とその箇所(頁)のデータベース→創作性がある…?
- ×:山の高さで検索
- ○:山の色で検索→創作性がある…?
なお、事実であるデータ1つ1つには著作物性はありません。また、データを集めるのがすごい大変で、データベース完成に費用と手間をかけたとしても著作物性とは無関係です。
ウェブディレクターの視点
ウェブの企画でデータベースを元にした検索機能というのはよくありますが、データベースの著作物性を主張するためには注意が必要です。クロールやスクレイピング技術の発達により、公開したデータベースは簡単に複製されると思った方が良いでしょう。
苦労してデータを集めて公開した「●●検索サイト」が大人気。アクセス数が急増!だとしても、1ヵ月後には複製されて「【元祖】●●検索サイト」が立ち上がってしまうかもしれません。
そうするとデータベースを作成・公開するときに、何らかの創作性を付与した方が良いのかもしれません。
「作曲者と曲名データベース」(事実のデータベース)
+
「歌詞のカテゴリを追加(「恋愛」「社会」など独自分類)」
とか。
自分も仕事で、一つ一つは事実であるデータを集めて、創意工夫を加えた上でデータベースをコンテンツとして販売しているので、色々と気をつけている部分ではあります。
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