016.表現の創作者(智恵子抄事件:上告審)

智恵子抄 著作権

概要

  • 1993年(平成5年)3月30日:最高裁
  • 高村光太郎の「智恵子抄」は昭和16年にAが出版
  • Aは昭和40年に自分の(編集)著作物として文化庁に著作権登録をした
    • Aは編集として関わっていた
  • 高村光太郎の著作権相続人Xは、Aに対して著作年月日登録の末梢と、出版する法人Yに対して発行の差し止めを請求
  • YはAが編集著作権を有するとして反訴
    • 一審は光太郎のものと判示・原審は控訴棄却
  • 上告棄却
    • Aの編集はアイデアや企画案に過ぎず、編集著作者とは言えない
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編集著作物の著作者

一見すると、高村光太郎の著作物をAが自分のものとして登録した無茶な事案に見えますが、「智恵子抄」全体を編集著作物としています。抄録された詩や散文それぞれは個別に高村光太郎の著作物です。

編集著作物とは「素材の選択又は配列によって創作性を有するもの」です。しかし、単に編集方針を示した、編集に関わった程度では著作者としては認められず、その素材の選択を実際におこなっていることが重要です。今回の判例では、最終的に高村光太郎が素材を選んでるとして、高村光太郎が編集著作物(智恵子抄)の著作権者と判断されました。

編集者Aと出版社Y

この編集者Aと出版社Yは何者だ?と思いますが、「澤田伊四郎」と代表取締役を務める「(株)龍星閣」とのこと。智恵子抄を独占出版したかったようです

(参考)『智恵子抄』の編集著作者は誰か(1) | 『ツェッペリン飛行船と黙想』事件
https://ameblo.jp/historien/entry-12359535718.html

なお高村光太郎は1956年に死亡しており、死亡から50年経過の2006年に著作権の保護が切れて智恵子抄も「青空文庫」に収載されています。

高村光太郎 智恵子抄

2018年12月30日にTPPにより死後70年の保護になっているが、それ以前に保護期間が切れたものはそのまま。

ウェブディレクターの視点

ウェブサイトも様々な素材(テキスト・画像・写真、パーツなど)を組み合わせて構築するので、編集著作物という考え方もできそうです。ただ、そうすると個別の素材の著作権を整理することになり、非常にややこしい話しになってきます。

ウェブサイト全体で1つの著作物という考え方が取り扱いやすいですが、その場合、著作物性は、見た目のデザインなのか、HTMLのソースコードなのか、深く考えていくとややこしいことになっていきます。おそらく映画の著作物に近い考え方をするのかなぁと思いますが、ここで思考停止しておきます。

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