概要
- 2014年(平成26年)8月28日:知財高裁判決
- 工業製品の著作権―応用美術とは
- イベントの企画会社Xが開催したファッションショーを、許可無く放送したYに対して、映像に現れている以下が著作物であるとして、著作権(公衆送信権)、著作隣接権(放送権)、実演家としての人格権(氏名表示権)の侵害として損害賠償請求
- ①モデルの化粧や髪型などのスタイリング
- ②着用する衣服の選択
- ③装着させるアクセサリーの選択
- などなど
- 控訴棄却(確定)
- 「実用に供され、産業上利用されることが予定されている美術的創作物」→応用美術は、全体として美的鑑賞を目的とするもので、実用目的から分離して鑑賞に対象となっている部分を把握できる場合のみ著作物とする
美術工芸品と応用美術
- 量産される美術工芸品の著作物性の判断は難しい
- 壺・茶碗・刀は一品制作品なので基本的に著作物になる
- 量産される場合
- 博多人形は著作物になった判例があるが…
- 本来は意匠で保護される領域
- 日用品などの工業製品・実用品のデザインを「応用美術」と呼ぶ
FOREVER21 のファッションショーのテレビ放送
判例の文章だとイメージがつかめなかったけど詳細情報がこちらの記事にありました。
イベント企画会社が原告で、FOREVER21のファッションショーを行い、その映像をFOREVER21のプロモーション代理店がNHKに提供して放送したことにイベント会社が訴訟を起こしたようだ。
イベント等の企画制作コンサルティング等を行う原告(控訴人)X1とX1からイベントの業務委託を受けた原告X2が平成21年6月6日に「FOREVER21」の衣装等を使用したファッションショー(以下「本件ファッションショー」)を開催した。被告(被控訴人)とされたのはNHKですが、同じく被告とされた会社は、「FOREVER21」の日本におけるプロモーション代理店であり、その従業員からNHKは本件ファッションショーの映像の提供を受け平成21年6月12日にTV番組「特報首都圏“激安”ファストファッション~グローバル企業が狙う日本~」(以下「本件放送」)を放送しました。
弁護士法人栄光 栄光綜合法律事務所
http://www.eiko.gr.jp/law/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%87%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%81%AB%E9%96%A2%E9%80%A3%E3%81%99%E3%82%8B%E8%91%97%E4%BD%9C%E7%89%A9%E6%80%A7%E3%81%AE%E5%88%A4/
FOREVER21のプロモーション代理店が提供した映像ならNHKも信じて使うだろうに。なんか揉めたのかなーという感じです。イベント会社はファッションショーに出演している個別ファッションの著作権を持ち出して争ったけど棄却。別の争点の方が良かったのでは。
そういえば2019年10月に「フォーエバー 21」は日本を撤退してることを思いだしました。
上陸したときに超話題になってたけど。
ウェブディレクターの視点
ウェブ制作における著作物は基本は一点ものになるのででシンプルに著作物の複製の問題になると思います。量産する工芸製品は・・・ウェブ業界にはあまり関係なさそう。
デザイン・ファッションに関する法的保護については、近年議論が活発になっているようです。有名ブランドや流行りのファッションが、格安メーカーに模倣されたり、その逆があったり。
型紙を盗用して「同じもの」を作ったわけではないので著作権の問題にはなりづらいようです(上記の記事も不正競争防止法でZARAが敗訴です)。
マンガやイラストやロゴの雰囲気やテイストが似ているときに、アイデアは著作物にならないという問題にも似ていますが、洋服のように量産される製品で模倣した側の販売力が強いと、元ネタ側の製品が売れなくなるので、厳しい問題だと思います。シーズンごとに流行が変わる洋服を1つ1つ意匠登録してらんないだろうし。
自分も愛用している柳宗理の鍋なんかは、削ぎ落としたシンプルさでが真似されやすそうですが、どうやって権利やブランドを保護しているんだろうか。
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