概要
- 2006年(平成18年)11月29日:知財高裁判決
- 絵画の模写は二次的著作物になるか?の判例
- 浮世絵を模写(絵画X)したA(死亡)の相続人である原告Xが、豆腐のパッケージに絵画Xを利用したYに対して損害賠償請求
- Xは単なる模写ではなく創作性を含んでいると主張
- 地裁ではXの請求は棄却
- 知財高裁でも控訴棄却
- 模写には創作性がない。模写によって生じた微妙な差異は創作性とは言えない
- 判例では細かく創造性を否定していて画期的
引用
この事件は元の浮世絵と絵画Xと豆腐パッケージの写真は比較しないと理解が進まないので引用します。引用元は以下の記事より。
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二次的著作物(翻案)の創作性について
- 模写する過程で簡略化したり、微妙に変化することは創作性ではない
- 二次的著作物にはならない
- 単なる「複製」になる
- つまり、この豆腐パッケージは、著作権の切れた浮世絵の複製を使っただけ…という解釈
ウェブディレクターの視点
二次的著作物(翻案)は、いわゆる「同人誌」や「パロディ」や「ファンアート(イラスト)」という、何かとグレーゾーンが多いテーマになります。
無許諾での著作物の複製・翻案は、 私的利用等の例外を除き、原則不可です。親告罪であるがゆえの黙認が日本のサブカルチャーを盛り上げたという側面があるので、このまま親告罪のまま、グレーゾーンまま…が良いのではと私は思います。
ただ二次的著作物の権利を自身のものとして確保したいのであれば、許諾をとり(もしくは一次著作物の権利が切れているか)、なおかつ、そこには創作性が必要です(トレースではダメ)。
今回の判例にあわせて考えるなら、たとえば鳥獣戯画を模写する際に、簡略化するだけではなく、カエルとウサギの服装やポーズを変えてみるなどの創作性が求められます。
なお本書(著作権判例百選)では翻案権の判例として「江差追分事件(えさしおいわじけん)」が挙げられています。書籍を参考にテレビ番組をつくり、そのナレーションが書籍に類似しているとことを争った裁判ですがNo.44で解説されるようです(まだ、そこまで読んでいない)。
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