概要
- 1984年(昭和59年)1月26日:大阪地裁判決
- アイデアと表現は別ものという判例
- 原告Xが実用新案を得た万年カレンダーに類似したデザインの製品を販売した被告Yに対して著作権侵害による損害賠償請求①と、実用新案権による販売差止請求②
- ②は認容、①は棄却
アイデアと表現
- 著作権法では「思想又は感情」(着想・アイデア)が、創作的に表現されていなければ保護されない
- アイデアの模倣と著作権侵害は別もの
ウェブディレクターの視点
法律関係の文章は非常に独特でわかりにくい
万年カレンダーってなんだ?判例の文章を読んでも全くイメージが湧きません。
原告が創作した本件カレンダーは各月の第一日目が日曜日、月曜日、火曜日、水曜日、木曜日、金曜日、土曜日のいずれかの曜日から始まるかによつて各々の月を七種類に区分し、各月を予め規定された七種類の色彩で表示し(以下「表示物」という)、他方、過去、現在、未来の数十年から数百年にわたり各月を右の表示物を配置することによつて表現されたものである
昭和55年 (ワ) 2009号 |著作権判例データベース http://tyosaku.hanrei.jp/hanrei/cr/4967.html
大学で法学に触れなかった自分にとって、全て文章にしようとするスタイルにビックリします。複雑に利害関係者が絡む裁判において、原告、被告、第三者の関係性も図解すればわかりやすいだろうに、X1,X2,Y1,Y2,甲,乙,A,B,Cが入り交じった文章で表現され、高い読解力が要求されます。
万年カレンダー自体はAmazonでも販売しています。

普通の万年カレンダーは単一色ですが、この事案ではどうやらカラフルな色彩で、容易に特定年月のカレンダーを設定できるようなデザインのようです。裁判資料の図版もみつかりましたが…わかりづらい。
http://hirao-pat.in.coocan.jp/copyright/zu/zu12.png
著作権法逐条解説判例一覧( http://hirao-pat.in.coocan.jp/copyright/1hanrei_right.htm )より
今回の事件では、そのカラフルな色彩をそのままコピーしたわけではないため、本件に著作物性は認められないとの判断でした(実用新案権は侵害)。
パクリと真似とアイデアの盗用と著作権侵害
よくパクリや真似が話題になりますが、ほぼほぼで一致しないと(複製やトレースでないと)著作権侵害にはなりません。話題になるのは、構図だったりアイデアの類似ですが、これらは著作権では保護されません。
「ウェブデザインが似ている」という場合であっても、ソースコードやピクセル単位で一致しないと著作権侵害を問えないでしょう。一方で、ソースコード内の誤りやタイプミスが、そのまま使われていると、デザインが完全一致していなくてもソースコードの「複製」が強く疑われることになります。
いまや開催も危ぶまれる2020東京オリンピックですが、当初ロゴがパクリ疑惑で撤回されたことも記憶に新しいです。(むしろ忘れられている?)

しかし、これも結局はアルファベットTをデザインするアイデアの模倣であり(模倣かどうかは本人にしかわからないですが)著作権侵害とはなっていません。
アイデアの模倣として、このような事件もありました。
電話ボックスに金魚を泳がせるというアートの著作権侵害についてですが、アートの表現そのものの類似性で判断され、著作権侵害は認められませんでした。
以上のように「似ている」「雰囲気がそっくり」では著作権侵害にはなりません。この著作権ではアイデアを保護しないと言う原則は、判例で何度も何度も争点となっている箇所です。ウェブディレクターとしても気をつけたいとことです。(逆に言うと、アイデアは流用しても構わない…!?)
Web制作で気をつけるべき、もう一つの権利「商標」
そしてWeb制作の現場でウェブディレクターが気をつけないとならないもう1つの権利に「商標権」があります。特に有名なものは東京スカイツリーの商標です。
東京スカイツリーのあの独特の形状をイラストにします。もちろん著作権の複製にはあたりません。しかし、このシルエットが商標権の侵害として激しい警告が飛んでくると言われています。
ウワサでは写真に映り込んでも商標利用として警告されるとか…?ウェブディレクターとしては気をつけたいところです。
と思ってたら、いらすとやに東京スカイツリーがあった…。許諾をとっているのか!?

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